空き家を宿泊施設として利用した面白い取り組み
以前コラムで空き家の民泊利用について取り上げたことがありますが、昨今外国人観光客の増加により、民泊ブームが高まりを見せる中、空き家を宿泊施設として利用した面白い取り組みが行われている街をご紹介したいと思います。
大阪市此花区は、住宅の空き家数7,570戸、空き家率が20%と非常に高い水準にあります。(全国平均13.5%、大阪市平均は17.2 %。平成25年度「平成25年住宅・土地統計調査」より)
その此花区の中にある西九条の住宅街で、2017年に始まったのが「SEKAI HOTEL」(https://www.sekaihotel.jp/)。窓口となる「フロント」でチェックインをして、街中に点在するリフォームした空き家を「客室」として宿泊するという新しいタイプのホテルです。
西九条はユニバーサル・スタジオ・ジャパンまで電車で5分という立地でありながら、住宅地のため新たに大きな建設用地が確保できずに再開発が進んでいない地域でしたが、この空き家を活用したホテルによって、人を呼び込み、地域全体の活性化をはかろうとしています。ブログを見てみると、周辺のおすすめのお店の紹介が日本語と英語でされており、日本人観光客はもとより、世界中の観光客にむけた発信が多く見られます。
空き家はホテルの運営会社であるクジラ株式会社が買取り、宿泊施設としてのリフォームを行っているということで、プロの手で空き家がおしゃれな宿泊施設に生まれ変わっています。
現在は「対策の必要な問題」と考えられている空き家が、このSEKAI HOTELのように「活用できる街の資産」として見直されていけば、新しい街づくりが見えてくるかもしれません。
空き家王子.COM 代表 早水 大輔